ヘルニア 持ちが ロードバイク に乗る為には

ヘルニアの入院日誌ばかりで新着が埋め尽くされていますね。

まだ入院中です。簡易ログなので後で整理しつつ、しっかりまとめたいです。

さて、術前術後で腰の話だけというのもあれなので、今回はそれに絡めて自転車の話をしたいと思います。

腰椎ヘルニアの簡単な説明

椎間板ヘルニアというのは腰部(脊椎)に生じる問題です。

脊椎の間にある座布団が圧に耐えきれず中綿を外に放つのがヘルニアという状態、その中綿が脊椎後方の神経(大切な馬尾や身体各部に伸びる神経根)を圧迫したり炎症の原因となると、腰痛のほか下腿の痺れや麻痺、筋力低下、痛み、冷感熱感、最悪排尿排便機能異常など神経の通じる各所に異変を起こします。

特に足先に向かって坐骨神経痛症状が多く出るのはこの為。

手術ではこの中綿をとり原因を解消します。

基本的な方法は背中側を切って少し椎弓骨を削り、露出した神経群を除けながら、その奥に見える綿の切除になります。

ヘルニアは日常動作、生活習慣、重労働、高負荷運動、先天的なもの等様々な可能性から発症します。スポーツ自転車に乗ってヘルニア発症、なんてことも普通にあります。(どういう姿勢が良くないのか後でチラッと説明します)

※自転車はちゃんと乗れば比較的腰椎リスクの少ないスポーツです。

ヘルニア手術後の制限は?

術後概ね2日で歩行許可が出ますが、切開時に筋肉を切るのと、骨を削るのと、なにより一度飛び出した実績のある椎間板がそこに佇んでいるので回復と再発防止の為、コルセット(や歩行器)の使用を命令されます。

このコルセットは術後概ね2ヶ月弱は寝るときと入浴以外常時着用を言い渡されます。その上で体幹や下肢を鍛えるリハビリを軽く行いつつ、事務仕事なら術後一ヶ月、現場作業等で三ヶ月、負荷の高いスポーツなら半年〜一年を目処に復帰出来る場合が多いようです。

自転車制限は?

本題の自転車。

基本的に腰(腰椎)への負担が無ければ日常生活は大丈夫なので、入院リハビリ中にエアロバイクを軽く漕ぐ等はOKです。

ママチャリなどでは路上の衝撃など瞬間的な要因があるので、術後最低でも一ヶ月は控えるほうが良いみたいです。(スポーツ自転車乗りの方なら理解できるかもしれませんが、乗車中の衝撃に限ってはシティサイクルの方がサドル荷重が大きい分、腰への衝撃負荷が高そうですね)

ロードバイク、クロスバイクやマウンテンバイクなどは、どこを参照しても基本的に三ヶ月〜半年は控えるよう医師に言われたというケースが目立ちます。

これは乗車姿勢(特にエンゾ乗りなど)や衝撃のリスクがあるほか、どうしても強度を上げがちな点が理由でしょう。また乗車降車時にサドル位置の高さから腰を捻る動作が発生するのも良くありません。

姿勢の問題は、例えば

ヤマメ乗りにするとか腰が楽なように乗る(背骨を曲げない)

何事も無理をしない、乗車時降車時には段差を利用、とっさの停止では素直にトップチューブ方向に降りる、などに気をつければある程度対処は出来そうです。

衝撃の問題は残りますね。サドルの質や荷重分担を行っても硬いものは硬いですから。(マウンテンやシクロクロスのようなサス付きは逆に良いのかも?) 但しこれは自転車運動動作の中で起こる最大のリスクではないので、自分との許容範囲の中で適宜対処や注意、管理を行うほかなさそうです。

なぜダメなのかをしっかり理解し対処と注意をしていれば、全体的なリスクとしてはシティサイクルとそう代わりないかもしれません。

むしろなにがダメなのかをしっかり理解し対処と注意をしなければ、術後何年経とうが、或いは未だ腰椎が健常な人を含めて、ヘルニア発症のリスクは高いままです。

スポーツ用自転車である以上、乗らないよりリスキーである点は変わらないので、とにかく乗ってはいけない時期をしっかり守り理解と対処、注意など自己管理がちゃんと出来るようになる時期を目処にして再開しましょう。(姿勢や強度に限らず例えばSPDでの使用は転倒リスクの点でしばらくNGにするなど)

※勿論医師の判断を仰ぐのが安心ではありますが、では三ヶ月、半年、一年どれが正解かなんて明確な尺度はありません。コルセットがとれる時期以降は、十分な理解と対処できるだけの体力を持てたそれぞれのタイミングで再開するほかないです。出来ないなら半年後に再開したって同じです。

腰に負担をかけない乗り方

先ほどチラッと出ましたが、ロードバイクではヤマメ乗り、クロスにせよMTBにせよ基礎は同じ考え方で乗るべきです。これはヘルニアでない腰椎が健常な方も、根本的にはシティサイクルに乗っている人でも同じです。

ヤマメ乗り自体は書籍もありますし、検索したら動画もテキストもたくさん出てくるので割愛しますが、

その乗り方が流行っているとかそういう問題ではなく、日常生活を含めては腰椎への負担が少ない姿勢を自転車で実行すると必然的にそうなるんです。

正しくは おじぎ乗り と言うそうですが、

ようは骨盤を(腰椎と平行に)寝かせて漕ぎましょう

というのがポイントです。その上で物理学的に荷重バランスを考えてポジションをとり、効率的に(楽に)長時間漕げる状態を作りましょうという考え方です。

ヘルニア術後のリハビリ中、日常動作指導で口うるさく言われるのは、

・拗じらない

・曲げない

・反らない

ですが、特に腰曲げは最も椎間板と相性の悪い状態です。

特にロードバイクの世界では、

骨盤を立てて みぞおちあたりから前に倒す

という馬鹿らしい考え方が古典として染み付いています。

確かに高出力を出すには良い考えではあるのですが、それを長時間行うには前もって、無駄に凄いスタミナや、苦痛に対する高いマゾ精神が必要で、その上で腰への負担はかなり高いままです。

骨盤や股関節の利用をせず全身固形物の理屈で乗り続けて問題が生じないのは人外的に身体が柔らかい人だけです。

だから昔のプロロードレーサーはヘルニア持ちが多いのです。勝つためにはリスクを厭わないし、それに見合った厳しいトレーニング、それを補う精神力や基礎体力は、長身(長脊椎)であるから積めたのです。それを真似て得する日本人などあまりいません。趣味ならば尚更。

これを大げさに突き詰めた乗り方が

エンゾポジション と言われるものです。乗り方を提唱した人がヘルニアになったのですから、科学的認識、論理的思考というのは何より大切だと再確認させられますね。書籍がありますが反面教師バイブルとして読むのはオススメです。

ポジションは作るものではない、作られるもの

腰に低負荷な乗り方というのは、

・無理のない姿勢で、

・余計な荷重をサドルから抜き

・ハンドルとペダルへと分担すること

にほかなりません。

手に荷重を増やすと重心が前に移動します。

すると必然的にサドル荷重が減ります。

お尻が浮いていくと前傾中腰の立ち漕ぎに近い、

つまりスプリントポジションとなり、ペダルを踏みやすくなりますが、ここで重ギアを踏みすぎてはいけません。

スプリントするなら仕方ないでしょうが、腰部筋群に負担を掛ける上、どうしてもその過程で脊椎を左右に捻るように踏もうとするので最悪です。(実際、競輪などのスプリント選手はそのせいでヘルニア持ちが多い訳です)

コツは

レーシーな意味での”前乗り”、”前傾”ではなく、

サドル荷重を分担させる意味での”前荷重”です

に荷重を掛けないのもロードの鉄則ですが、インナーマッスルが弱いのに無理に姿勢維持して腰の筋肉に疲労を与えても意味がありません。

しっかりと下腹部の筋肉を中心に鍛えつつ、ブレない天然コルセットの胴体を作りながら、手を離しても姿勢を維持できるポジションを見極めていきましょう。間違っても見た目や憧れを第一にしないことです。

結局、体幹発達の努力もなしに実用性を兼ね備えたハンドル落差なんて出せる訳ないのです。

ロードバイクでもクロスバイクでもサドルとハンドルの落差が大きいと腰椎を曲げてしまいますし、踏み込んでしまいます。そうではなく今の自分に見合った落差を出しましょう。

やみくもに上げたサドルを冷静に下げることも腰への一助です。

腰に優しい姿勢、(骨盤と腰椎が平行で真っ直ぐ)になると

必然的に低パワー高ケイデンスになります。

そしてその程度の負荷が最も体幹のインナーマッスルを鍛えますから、回復後のリハビリや運動不足解消としては、ジョギングなどよりかなり有用です。そこからインナーマッスルの増強訓練を車外で取り入れ、身の丈に応じてポジション再考 というのが正しい順序です。

おわりに

ロードバイクは効率的に長距離を走るために作られたものであり、非効率に長時間乗るためのものでありません。自身の身の丈に応じてパワーとケイデンスのバランスが変わるのです。プロと同じギア比でプロと同じケイデンスを出したいならプロ並の訓練を行える素質を持って生まれてきましょう。それ以外に変更できるステータスはフォーム改善や身の丈に応じたトレーニングで変わるものだけです。

ヘルニア術後の人は(というより健康的に自転車に乗りたい全ての人は)、それぞれの自転車と目的に合わたポジションをしっかり考えながら出しましょう。

自分がヘルニアになっておいて偉そうですが(自分は原因が筋トレでしたので)、わざわざ好きなもので身体を壊してほしくはないので自戒の意味も兼ねて書いてみました。

自転車に限らず、長時間、長期間に渡って腰椎を曲げなければならない理由など大抵ありません。余程価値か怠惰か脅迫のある時だけです。(社会的地位が上がるとか金が儲かるとか生活習慣や無理解故の不注意とか、はたまたブラック企業で深夜までいじめられているとか)

体幹を鍛える為にも、そしてストレス発散、運動の喜びや四季折々の保養を得る為にも、無理なく優しい自転車生活を送ってください。

※しばらく自転車は跨りませんが、パーツやアクセサリーレビューは相変わらずやる予定です。よければ自転車アクセサリーのカテゴリから観てやってください。

それではまた。

ヘルニア 持ちが ロードバイク に乗る為には 完

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コメント

  1. ましろ より:

    ヘルニアにはやまめ乗りのほうがよくありませんよ。ちゃんと調べたらわかりますがお辞儀の姿勢をとると物凄く腰に負担がかかります。さらに骨盤を前傾させると股関節の稼働域が狭くなり特に上死点の通過が苦しくなりこれもまた腰部への負担に繋がります。

  2. 管理人 より:

    コメントありがとうございます♪ ご指摘について返信致します。
    ※自身はやまめの学校等に実際に参加した身ではないので、理解が完全ではない点、ご了承くださいm(_ _)m 一番楽に乗れるポジションが常に正解だと思っています。

    お辞儀について。
    重心(頭部)が前方に移動するため腹部表裏に筋的負荷が掛かるのでおっしゃる通りだと思います。
    この重心移動分の負荷をハンドル(前腕から大胸筋)に分散しますが、前傾が深くなる程に重力に逆らい反る為の負荷がどうしても増大しますね。
    それを支える為に、下腹から裏側に掛けてのインナーマッスルが傾度に応じて必要で、その訓練(ヘルニアへの耐性)にもなるのがお辞儀乗りという内容でした。

    股関節の話について。
    一応この記事ではヘルニアを抱えている人を想定しているのでソフトなお辞儀のイメージが主ですが、やまめ乗りを調べると「最終的にこうなる」みたいなのばかり目についてしまいますね。やはりお辞儀乗りと言うべきなのでしょう。

    そもそも人体の骨盤は可動域が大して広くないので、「腰椎を曲げずに寝かせられる角度」は大してありません。
    上死点の通過が苦しくなるほど寝かせている場合は、「一緒に腰椎を曲げてしまっている」、「傾度に対してサドル(ハンドル)が低すぎる」、「引き足側のかかとが上がっている」のどれかだと思います。
    意識的に姿勢を真っ直ぐにするあまり反り気味になる場合もありますが、いずれにしても腰部に余計な負荷を感じるはずですし、腰椎を曲げているのでヘルニアには良くないです。

    極端な対比としてエンゾ乗りというものを出してみましたが、
    ・骨盤を垂直に立て腰椎を曲げないようにみぞおちで折る
    この方向性の乗り方でヘルニアを保護するには自転車以外の訓練でインナーマッスルをかなり鍛え上げる必要があります。
    ・腰椎の上に胸と頭が寄ってくる(上から)
    ・路面からの突き上げ(下から)
    の板挟みに耐えるために走行中、常に体幹で締め上げないといけないからです。

    アームストロングのようにアスリート主義であればそれでいいと思いますが、一般ライダーの多くにとっては疲労時などに絶対的な体幹不足から「猫背の姿勢で路面の凹凸を拾う姿勢」になるリスクが高いと考えています。

    ヘルニア防止または悪化の防止にとって絶対的に必要なことは、
    ・サドルからの突き上げ削減
    ・腰椎の自然状態保持
    ・出来る限り効率的な体幹活用
    なので、綺麗な姿勢のまま骨盤の前傾でハンドル荷重を増やすことで、椎間板に上下方向の外的圧力を与えないポジションを形成するべきだと考えています。
    それがいわゆるお辞儀乗りだというだけです。

    余談―
    腰椎を曲げず骨盤のみ深く倒していくとなると、丁度ライダーだけ回転するみたいになり、上下死点が1時7時方向にずれ込み重心も前に移動するので、スムーズな入力の為にサドルが上がり前に出ますね。
    パワーは出ますが、スプリントポジションに近いのでやはり腰は痛いですし、なによりサドルに股間が潰されてしまい別の病気になりそうです(^_^;)
    アームストロングや新城選手のように強い下腹筋群を持っていればある程度腰椎を曲げても問題ないのでしょうが………。

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